肥満は万病の元と言われ、生活習慣病や動脈硬化の原因だけでなく、胃酸が食道に逆流して起こる逆流性食道炎を悪化させたり、癌にもなりやすいという報告もあります。
当院では体格指数(BMI)や体脂肪率を参考に患者様への体重減量を指導しています。
BMI=体重(kg)÷{身長(cm)×身長(cm)} (正常:19.8〜24.2)
標準体脂肪率:男性 30歳未満 14%〜20% 30歳以上 17%〜23%
女性 〃 17%〜24% 〃 20%〜27%
特に内臓脂肪型の肥満の人に生活習慣病が起こりやすいことから、最近ではメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と呼ばれ、特定健診にも採り上げられています。
日本肥満学会の基準では
腹囲:男性85cm、女性90cm以上が必須
@血圧130/85mmHg以上
A中性脂肪150mg/dL以上またはHDL-C40mg/dL未満
B 血糖110mg/dL以上
の3項目中2項目以上を満たすとメタボリックシンドロームと診断されます。
高血圧とは140/90mmHg以上の血圧であり、放置すると動脈硬化の促進→虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・脳卒中などの病気になる可能性が高くなります。頭痛・肩こりなどの症状を訴える人もいますが、一般的には自覚症状に乏しいため定期的に測定しなければ発見されにくく、発見されても症状がないため放置されることも少なくありません。
高血圧予防のための日常生活
@規則正しい生活(十分な睡眠)
A肥満の改善。コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。
B1日30分以上の有酸素運動(心血管病の方は控えてください)
C塩分制限 現在の日本人の塩分摂取量は平均で1日11〜12gですが、高血圧患者では1日6g未満を目標とされています(高血圧治療ガイドライン2009年版)。
Dカリウム摂取 カリウムには体内の余分な塩分を排泄する作用があります。カリウムは、新鮮な野菜や果物などに多く含まれています。野菜では熱を加えたり水にさらしたりすると失われやすいものが多いですが、カボチャのようにゆでてもほとんどカリウムの量が変わらないものもあります。ただし、腎臓が悪い方でカリウム制限が必要な場合は注意してください。
Eアルコールは適量にする:日本酒で1合、ビールで500ml程度です。
F禁煙
高血圧の分類
正常高値:収縮期血圧130〜139mmHgまたは拡張期血圧85〜89mmHg
T度高血圧:収縮期血圧140〜159mmHgまたは拡張期血圧90〜99mmHg
U度高血圧:収縮期血圧160〜179mmHgまたは拡張期血圧100〜109mmHg
V度高血圧:収縮期血圧180mmHg以上または拡張期血圧110mmHg以上
※注意すべき高血圧
白衣高血圧(または診察室高血圧):日常の血圧は正常なのが、病院で測定すると高くなる場合。
仮面高血圧:日常の高血圧なのが、病院で測定すると低くなる場合。
これらは血圧上昇の程度により必ずしも薬を必要とするわけではありませんが、白衣高血圧の患者の中にはいずれ本当の意味での高血圧になる方もいますので、生活習慣の修正は必要です。当院では家庭血圧の測定を勧め(朝食前に1回、夕食前、入浴前または就寝前に1回)、診察時の血圧と比較することで治療の参考にしています。
高血圧の治療
治療の手順および目標は血圧の程度、危険因子・合併症の有無により異なります。
@生活習慣の修正
A危険因子の評価
*1危険因子 高齢(65歳以上)、喫煙、脂質異常症、尿微量アルブミン排泄、慢性腎臓病、肥満(特に腹部肥満)、メタボリックシンドローム、若年(50歳未満)発症の心血管病の家族歴、糖尿病
*2メタボリックシンドローム ここでは血圧のほか、腹部肥満に加えて血糖値異常か脂質代謝異常のいずれかがある場合。
*3臓器障害/心血管病 脳、心臓、腎臓、血管、眼底のいずれかに、日本高血圧学会が指定する異常がある。
低リスク群→3ヶ月以内の指導で140/90mmHg以上なら降圧薬治療
中等リスク群→1ヶ月以内の指導で140/90mmHg以上なら降圧薬治療
高リスク群→直ちに降圧薬治療
降圧目標
若年者・中年者→140/90mmHg未満
糖尿病・慢性腎臓病→130/80mmHg未満
75歳以上の高齢者、虚血性心疾患または脳血管障の患者→140/90mmHg未満
ただし、抗血小板薬や抗凝固薬を服用中の場合は脳出血の確率を減少させるため
130/90mmHg未満
詳しくは厚生労働省のホームページを見てください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/seikatu/kouketuatu/index.html
フリードワルドの式 : LDL-C=Tcho−HDL-C−TG÷5
(ただし、中性脂肪値が400mg/dL以上の場合は、LDL-Cを直接測定します。)
また、脂質管理の指標としてLDL-CとHDL-Cの比(L/H比)があります。上記ガイドラインでは脂質のそれぞれの値を目標としていますが、急性心筋梗塞で入院された患者ではLDL-C値が正常であっても、HDL-C値が低い患者やL/H比が高い患者が少なくないので、L/H比を2.0未満、糖尿病患者では1.5未満に低下する必要性が論じられています。
健康診断や人間ドックを受けられた方は、脂質の値だけでなくL/H比にも注目してください。
〒349-0115
埼玉県蓮田市蓮田1-231
旧住所:蓮田市蓮田463-7
TEL・FAX 048-768-4772
metabo.htmlへのリンク